第85回『一億本の向日葵』~表もあり、裏もある~

第85回『一億本の向日葵』

~表もあり、裏もある~

今、社会の安定的な側面がガタガタと音を立てて崩れ、変化しています。医療や教育、仕事、社会的な補償など、今まで当たり前だと思っていたものが、実は大きな恩恵であったことにも今さらながら気づきました。日頃、特に問題もなく過ごしていた頃には気づかなかった些細なことが、気になり始めた方もいらっしゃるのではないでしょうか。表ばかりを見ていればよかったけれども、裏の面も浮き彫りになってきた。私自身もここ最近、私の内面の中でその葛藤を感じておりますが、表裏一体という言葉があるように、表もあり裏もある自分と向き合う時間でもあると思っております。

 樋野先生は、新渡戸稲造の言葉「順境と逆境」についてお話されることがあります。逆境という言葉は、私も比較的使い慣れていて、イメージもしやすいのですが、順境という言葉は日常的には使いませんし、逆境ではない状態という、かなり大まかなものしかつかめない気がしていました。では、今の私たちを取り巻く状況は、順境なのでしょうか?逆境なのでしょうか?今の状態を点で見るのであれば、逆境だと感じる方が多いのではないでしょうか。しかし、何十年、何百年の単位で見たら、逆境かどうか分かりません。順境か逆境かの判断には、時間軸の点だけではい、線での判断が大きく関わってくるのだと思います。そうしますと、結局、順境もなければ、逆境もないことになります。樋野先生のご講演のスライドの中で、扇型の図が出てきますが、点である今の自分たちの決断が、将来扇型のように大きく作用してくるのだと、私はその図を解釈しております。今の時点で逆境だと思われている事柄を、未来の順境にするために、私たちが今できることは何なのか?私も日々考えております。一つは、今までの形に拘らないこと、今まで受けていた恩恵に感謝をして、手放すことが大事なのではないかと思っております。がんを患ったこともそうですよね。どうあがいても、がんになる前の自分には戻ることが出来ませんが、健康が保たれていた今までの人生に感謝し手放す。そして、がんになる前よりも素晴らしい自分になる道を選ぶことはできます。逆境を順境に変える力を未来に託すことはできます。

 樋野先生の言葉の処方箋は今、がん患者さんだけでなく、社会のニーズになっています。扇の点である今だからこそ、言葉の処方箋を単なる慰めでなく、力に変化するのだと思います。

ひまわり&パンダ担当🌻齋藤智恵美

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